45歳真夏の大冒険 連載1

毎日暑いです。
この暑さを感じると5年前の休業閉店時を思い出します。
ちょうど今頃の夏休み前に閉店しました。
最終日にはまるでドラマの最終回のように今までのお客さんや知り合いが続々とあいさつに来てくれました。
魚も水槽も什器さえも全部きれいに売り切り、もちろん借金もなく、良い人たちに恵まれなんて幸せな終わりだろうと仕事冥利に尽きたものです。
その日の夜は気分とは裏腹に今まで経験したことのない強烈な足のつりがありました。
それもいい思い出ですが、全力の硬直が10分ほども続き足がちぎれるかと思いました。
閉店後、まず一番の大仕事が130cmのピラルクを水族館に輸送プロジェクトです。
良い個体なので水族館に営業をかけて成立したんです。
しかも輸送もやるという条件で。
ピラルクの輸送はとても難しく業者でも苦労します。
一応僕も元魚の輸送屋です。画期的な方法を実行し、そして成功しました。
とても良い経験をさせてもらいました。
その後も猛暑の中何度もシャワーを浴びながら店の後片づけをし、そして本当のエンディングを迎えるのでした。
水槽のあった場所と歩いた部分がコンクリートにくっきり跡が残っていて涙もんでした。

その後、あえて次の仕事も決めないまま2ヶ月無職を楽しもうと思い、これがまたこの歳にして最高の青春のような思い出です。
その中でも一番のイベントが小笠原に行ったことです。
経営中はどうしても行けなかったのですが、今こそ行こうと。
しかもしがらみのない無職の状態の今こそ。
小笠原は船でしか行けないため最低でも一週間必要なんです。
家族を連れての大冒険でした。
小笠原丸が出港する時大きな汽笛を鳴らすんです。
それが自分の今の状態にはまりすぎて感動しました。
ドキドキとワクワク。これからどうなるのか。まさに船出。
小笠原旅行で一番思い出深いのは何気にこの時です。
そして旅を終え東京湾に戻ってきた時も、「さーて、頑張らなくちゃなー。大丈夫かなー」と、レーシングカーのアイドリング状態みたいな気分でした。
そして就職し新しい生活が始まります。
続く・・・。

休業中の4年間の出来事を時々連載していこうと思います。
独りよがりですが少し付き合ってください。