魚との立ち合い

魚が売れる時、網で魚をすくいます。
大型の魚は直接袋で取り上げたりします。
そういうのをパッキングと言います。
お客さんから、取るのがうまいとよく言われます。
仕事で毎日やってますから、と答えてますが多分本当はうまいんだと思います。
一人なので比べる対象がいないのが残念ですが、自信はあります。
とは言え競うものではないので目的に応じてこなしてるだけです。
魚に負担をかけないよう素早く、時に無理せず的確に済ますのが目的です。
技術もありますが実は心です。心理戦です。
魚の気持ちを読むんです。
騙し合いか信頼関係のはざまです。
野性の魚を捕まえる時は完全に騙し合いの駆け引きです。
魚によってはこっちが網を持ってるか無いかでも警戒心が変わる程です。
その辺を理解してないで、なめてかかると魚は捕まえられません。
向こうからしたら命がけなので、まさに侍の兵法の世界です。
刀を抜く、抜かない。意表を突く。真っ向勝負。
宮本武蔵の五輪書の様な物が出来上がりそうです。
以前に小舟で海に出てブリの子と手アミ一本で勝負したことがあります。
奴は逃げれば良いものを何を思ったか真正面を向いて挑んできました。
一瞬の切り合いの果てに、奴はこちらの手の内に収まってました。
こうしてまた修行の道を進むのでした。